大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和49年(ラ)97号 決定

一般に、仮処分又は仮差押を申請し、一定の担保を提供して右決定を得ると共に本案訴訟を提起した者が、本案訴訟の確定をまつことなく右保全処分の申請を取下げ或いはその執行を解除し、又は本案訴訟の確定前に右保全処分決定の取消判決が確定したような場合に、前記の担保に関し、民事訴訟法一一五条三項にいう「訴訟ノ完結」があったものといい得るか否かについては、仮処分の場合にはこれを消極に解すべきであるが(原判決挙示の大審院決定参照)、仮差押の如く、被保全権利(即ち本案訴訟の権利関係でもある)と被差押物件とが直接の関連を有しないような場合には、本案訴訟の結果如何と、仮差押に因る受損の有無及び額は、必ずしも必然的な関連を有しないとみ得る余地があることは否定できないところである。

しかし飜って考えてみるに被保全権利不存在のゆえをもって仮差押決定が取消されたにもかかわらず、本案訴訟において右の権利関係の存在が肯定せられることもあり、その他本案の結果如何によっては、担保権利者(仮差押債務者)の提起する損害賠償の訴訟において、担保提供者(仮差押債権者)から過失相殺を主張すること等も考えられるところであり、ひっきょう仮差押の場合においても、仮処分の場合と同様、その取下、取消等があっても、なお本案訴訟が未確定である以上、担保の関係では、未だ「訴訟ノ完結」をみないものと解するのが相当である。

(古山 青山 小谷)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!